ウサギの臼歯の過長
ウサギ、チンチラ、モルモット、デグーは 前歯とともに臼歯も健康であれば一生伸び続けます。
彼らは本来牧草等の固い植物を臼歯ですり潰し、時間をかけてたくさん食べる生き物です。上下の歯がすり合わさり、丁度いい長さを維持することが望ましいのですが、歯根の伸びる方向が正常でなくなると削れて尖った臼歯が舌や頬に突き刺さり、痛くて食欲がなくなり、弱ってしまいます。
前歯は見ればわかりますが、奥歯(臼歯)は特殊な器具や麻酔をかけてよく見ないとわかりません。
当院においての治療は基本的には麻酔をかけて口内をしっかりチェックして伸びている歯を確認し、過長部分を削ります。
麻酔をかけずに尖った部分をカットすることもありますが、ウサギが暴れたり、細かい処置ができないこともありますので、基本的には麻酔をかけて処置を行っております。
歯を削りますが、歯の生える方向は変わりませんので、また伸びて尖ります。
したがって、また尖った歯が刺さり痛がるようになります。
歯を削る間隔はウサギさんの個体差や経過により違います。
早い個体で3週間ほどにて再処置が必要なこともあります。
当院では毎回口腔内の写真を撮って飼い主様にご説明しております。
それにより、処置前の症状と口腔内の状態がイメージでき、以降のウサギさんの状態と来院のタイミングが分かりやすくなると思います。
また、数回処置を行うとウサギさんも分かりやすい症状を示すことが多いです。
2016年の当院でのウサギの麻酔下歯科処置のべ症例数は 220例でした。
症状
食欲不振
便が小さい、少ない
よだれが出ている
元気だけど食べない
食べたそうだが、食べない
寄ってくるが、食べない
食べ物を口に入れるが、ぽろっと落とす
口の中で食べ物を回す(移動させている)
舌をペロペロと出す
処置の様子
1.一般的にはまず歯に異常が無いか、口内を確認します
2.処置が必要とされたら、ガス麻酔をかけます
3.10分ほどで口内を確認できるようになります
4.口が痛いため よだれが出ています
5.口内は一見すると異常は見られません
6.左下の臼歯が伸びて尖って舌に刺さっています
7.舌は広範囲に潰瘍ができています。尖っている臼歯は削りました。